技術事業戦略
カーボンニュートラル社会の実現へ向けた
技術的貢献を推進する
「“2050 年カーボンニュートラル”実現へ向けた社会的要請」や「昨今のエネルギー供給の急速な不安定化」をはじめとして、資源開発を取り巻く環境は大きく変化している状況となっています。JOGMEC/TRCはこのような環境変化に対し、「第6次エネルギー基本計画」および「法改正により新たにJOGMECに追加された機能」を踏まえ、この度2020年7月に策定した「低炭素社会に向けた技術事業戦略」を改訂しました。
新たな技術事業戦略の3つの柱と基盤
柱1:エネルギー安定供給の維持拡大(石油・天然ガス事業)
JOGMEC/TRCでは本邦企業の取組を後押しし、国の目標である2030年までの自主開発比率50%以上や日本企業の「外・外取引」を含むLNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)取引量1億トンからの更なる拡大への貢献に資する技術面での取組を強化します。更に、化石燃料の利用に対する社会要請を踏まえ、油ガス田開発の環境負荷の低減や、GHG(GreenhouseGas:温室効果ガス)排出削減に貢献する低炭素燃料(ガス)アセットへの転換に向けた技術開発・技術支援を進めます。
具体的には、供給地の多角化やガスシフトへの貢献に向け、1)既存企業コアアセットに対する環境対応や価値最大化、2)ガス資源獲得(新規探鉱・追加開発)に資する技術開発・技術支援を中心に実施します。
柱2:既存知見を活かしたCCS事業推進への貢献(CCS事業領域)
JOGMEC/TRCが石油・天然ガス開発事業でこれまで培ってきた強み、具体的にはCO2-EOR適用性評価をはじめとした地下評価・地上施設の技術知見と、産油・産ガス国(国営石油会社(NOC:National Oil Company))などとの関係性を活用しながら、引き続きCCS事業でも強みとして維持するために、国内/海外における実証機会を通じ、重点技術の獲得・ノウハウ蓄積を進めます。
そして得られた知見を活用しながら、1)CCS事業化支援(企業 FS/Pre-Feed 支援、社会的受容性支援、リスクマネー事業の技術評価)、2)将来の適地スクリーニングの支援を主軸に取組むことにより、CCSにおいても対外的に常に頼られ・認知され続ける存在を目指します。
柱3:カーボンニュートラル社会へ向けた新規事業への挑戦
(水素・アンモニアなど新規事業領域)
将来のJOGMECの基幹事業として期待される水素・アンモニア製造事業の事業化支援および付随するリスクマネー技術評価において、足下ではブルー水素・アンモニアを中心に事業化支援を行う中で、外部知見の取り込みおよびリスクマネー担当部門との知見共有・連携を行いながら、人材面・技術面の知見獲得を早急に目指します。
更に、2050年のカーボンニュートラル社会実現には、GHGを排出しないエネルギー源の多角化に加え、能動的に排出を「マイナス」にする取組が中長期的に必要となります。そのための中長期的な新規環境対策事業(洋上風力事業、ネガティブエミッション技術等)に貢献すべく準備を進めます。
基盤:柱1~3の事業実施の基盤となる
「人材/技術力」の維持・強化
AIをはじめとする高度な最先端技術の導入を例とするように資源開発事業における技術競争は益々激化しています。JOGMEC/TRCは資源開発における我が国の「人材/技術力」の中核となる存在であり続けることを目指していきます。
以上の技術事業戦略の推進により、脱炭素社会の実現に向けた次世代技術を牽引してまいります。また、我が国のエネルギーセキュリティの確保のため、石油ガス開発企業等に付加価値のあるソリューションを提供し、エネルギー資源分野における社会貢献を果たしてまいります。
Message
石油ガス開発事業は、世界的なエネルギー需給変動、地球温暖化問題に端を発するエネルギー議論など、大きな影響を受けて変わりつつあります。JOGMECの機能として、エネルギー・金属鉱物資源の安定供給という根本の役割は変わらないものの、二酸化炭素の貯蔵、及び水素資源の開発促進のための活動が加わり、低炭素社会の実現・気候変動の抑制が極めて重要なものとなりました。
このたび、JOGMEC/TRCの技術事業戦略についても、CCSの実現や水素・アンモニアの導入を進めるための組織体制整備を行うなど、効果的な支援を実現すべく見直しを行いました。具体的には従来からの技術基盤により石油・ガス田の生産の効率化と安定的な操業継続に貢献することに加えて、CCS事業の推進とカーボンニュートラル社会の実現に向けた挑戦を積極的に進めてまいります。
なおJOGMECは、カーボンニュートラルに向けた取組みを加速するため、3つの基本方針と具体的行動計画から成る「カーボンニュートラル・イニシアティブ」を2021年4月に公表していますが、JOGMEC改正法の施行に併せて同イニシアティブも改訂しております。下記関連情報をご参照ください。
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