デジタル推進事業
JOGMEC業務のデジタル化
データの再活用・有効活用に
向けて
データの再活用・有効活用に向けて
検索の効率を上げて、
評価の時間と質を向上
- POINT
- 技術情報の「見える化」
- 保有データの有効活用
- デジタル技術によるナレッジマネジメント
技術資料の検索
JOGMECは、旧石油公団時代からこれまで多くのプロジェクト及び研究を実施し、膨大な技術資料を保有しています。これらの資料は主にTERDIS(Technical Report and Data Information System)とTRC成果物システムという貸出機能を有する二つのデータベースに登録されています。どうして二つのデータベースが併存しているのでしょうか。それは、旧石油公団時代にTERDISがリスクマネープロジェクトや海外地質構造調査関係の資料・データを扱う目的で東京本部に立ち上げられ、TRC成果物システムがTRC(幕張)の技術開発や研究成果を扱う目的で立ち上げられたことに起因しています。
職員が過去の技術資料を閲覧・利用する際は、これらのデータベース上で分類やキーワード等で検索し、必要な資料の貸出を申請するといった手続きが必要です。両データベースに登録されている技術資料は、紙・フィルム・テープ・ディスク媒体、あるいは電子ファイルのみといった多種多様な形態で保存されていて、電子ファイル以外の資料の貸出申請があった時は、当該資料が記録されている媒体ごと貸し出されるため、大量に資料が利用される時は貸し出す方も借りる方も大変です。一方、電子ファイルのみの場合はファイルが保存されているフォルダにアクセスしてデータをダウンロードすることができるため非常に便利です。
また、技術資料によってはJOGMEC内部の職員であっても利用に制限があり、制限がかかっている技術資料に関しては管轄部署の担当者以外はその存在すら知らない(知り得ない)ことが多く、それらの資料に関する知見が属人化していることも課題となっています。
新しいプロジェクトや研究を行う時、JOGMECの技術者は関連する過去の技術資料を調べます。しかし、「データベースが二つある」、「存在すら分からない技術資料がある」ため、検索に時間がかかったり、検索漏れが生じたりする問題がありました。
InDEXの構築!
先程述べた問題を解決すべく、デジタル推進グループは2021年度に部署横断的データ検索システム(Inter-division Data Explorer、通称InDEX)の構築及び試行に着手し、2022年度に本格運用を開始しました。InDEXには次の特徴があります。
■InDEXにはTERDISおよびTRC成果物システムに登録されている坑井データ・震探データ・報告書類の情報(タイトルや位置等の基本情報)のみを登録し、検索対象とする
■位置情報を伴う坑井データ・震探データ・報告書類をInDEXの地図画面に表示させる
■InDEXでの検索結果に、登録元データベースの該当箇所のリンクを表示させる
なぜ、新規のデータベースを導入せずに、既存のデータベースを残す形で上記のようなデータ検索システムを構築したのでしょうか。それには二つの理由があります。一つはTERDISにはアクセス時に認証プロセスがあり、それが技術資料の利用制限のゲートとなっていること。もう一つは両データベースとも物理媒体の「管理」と「貸出」の二つの役割があるため、これらの役割を維持しながら膨大な登録資料が存在する両データベースの統合、もしくは新規データベースの導入・構築が容易でなかったことが挙げられます。
InDEXにより、二つのデータベースに登録されている技術資料を一括で検索することが可能となったばかりか、位置や場所で検索したい技術資料を地図上で視覚的に検索できるようになりました。これまでは資料検索から利用開始までに1週間から1か月程かかっていましたが、InDEXで検索することで当該所要期間がわずか数日に短縮されることが見込まれます。アクセス制限により、これまで「存在すら分からなかった技術資料」については、管轄部署と協議を重ねた結果、技術資料そのものにはアクセスできなくとも、その存在をInDEX上で表示できるようになりました。InDEXの活用は、JOGMECの知見を組織横断的に有効活用すること、技術資料の利用への意識を高めることに繋がり、“デジタル技術によるナレッジマネジメント”を大きく後押しするものとなっています。
InDEXの操作画面イメージ
※所属・役職及び本記事の内容は執筆時点のものです。